すべてが歪んで見える日
なんだろう、たまにあるんだけど、すべてが歪んで見える日。
街を歩く人の顔を見て吐きそうな気分になる。新宿駅で人の大群がごった返すなか、彼らの顔を見るとみんなひどく歪んで見える。
彼らの話す声音、言葉、すべてが腐っているように感じる。
いやだな、と思ってトイレに逃げる。トイレから出て、手を洗うと鏡に映る自分の顔が歪んでいるように見える。けれどわたしの歪みは、怯えに近い形をしている。
自分が歪んでいることを知っている。けれど純粋で美しいものに憧れている。自分の歪みが街を歩く人と同じものだと知る。自分はいつかもっと歪んで、汚い顔をして下品は言葉を吐くんだと確信をして、自分を滅亡させたくなる。
こんなもの。なぜ歪むことしか許されていないんだ。自分が全てにおいて醜くなっていく未来。わたしのすべてが、嫌悪する他者と同化する未来。助けてほしい。誰か、ここから出して。美しいものだけ見ていたい。