ぐるぐる雑記

ぬーん

嘘日記『パールを拾った話』

電車を待っていた。 夜の駅は、深まっていく秋の空気に包まれていた。秋の闇はベルベットの濃紺の生地。すこし紫がかったベルベットの生地。 「あっ」というおばあさんの声が聞こえた直後に、軽いものがいくつかホームに当たるぱらぱらという音。片手におさ…

あればいいのに(1)

子供を育てているといろんなことがちょっと不便なのだけど、その不便さのおかげで「こうあればいいのにな」みたいな欲求が多々生まれてくる。不便な人に対する差別としか思えないような100%の不便、たとえば銀座駅地下街の意味もなく5段下って5段上がる謎…

口紅を消してしまえば、どんな顔かも思い出せないけれど

本とか映画とかの感想書くはずのブログだったけど、もう本なんか読みません。育児してると集中力なくなります。 という言い訳はさておき、ふつうに日記を書きます。 今日出会ったおばあちゃんの話。 今日は「タイカレー食べたい」という思いつきのもと、午後…

若者のノスタルジーが向かうのは

アメリカの大学院に留学に行ってしまった友達と「日本はノスタルジーすぎて息がつまるよ」っていう話をした。 そういや最近、日本のみんな後ろ向いて走ってるのかなって、そんな気がするよ。インスタントカメラで写真撮るの楽しいよ、現像するまで何がでるの…

何も読んでないし、何も観てないんだけどさ。生きてる。

最近すごい、風が強いですな。風が強いと、地球って惑星だったんだよねっていうのが思い出せてとてもよいです。 赤子を産んで、今も隣で寝ています。生きるのがだいぶ楽になりました。死にたいって思うことが減った気がします。死ななくてよかった、生きてて…

春ぎらい

冬至を過ぎたあたりからめっきり日がのびていくのがわかりやすくなりました。最近の東京では雪が降って冷え込む夜が何日か続いたなと思ったら、突然日差しが春めいてきてとうとう春がやってくる予感がします。季節の変化というのは、気温ではなくて日の光に…

大学四年生時のでき婚記録

ひさしぶりにブログ書きます。 妊娠したことでおきた精神的な変化について書いておいた方がいいかなと思ったり思わなかったりしたわけで…。 妊娠って身体的変化以外にどうなっちゃうの…という疑問が自分の中にある一方でネットには情報がまったく無いので自…

フィッシュマンズの世界からはさよなら

すこしだけ眠って、目が覚めてしまった夜です。家に帰る前に買ったユーハの特濃ミルク飴をカバンから漁って深夜の2時に舐めています。罪の味がする。 最近とことんニートなので、いろんな映画を見たり、本を読んだりしてそういう面では充実しています。恋人(…

荒木陽子『愛情生活』、運命みたいなふたり

お題「読書感想文」 人ヅマのヌードばっか撮ってるアラーキーの亡き奥さん、荒木陽子の書いた夫婦の生活の本なんだけれど、困った…これ読んでると贅沢がしたくなってくる…。 愛情生活 作者: 荒木陽子 出版社/メーカー: 作品社 発売日: 1997/09/01 メディア: …

内田樹『困難な結婚』

いやはや、ブログの更新がお久しぶりである。その間に、すんごいいろんなことがあった。生きるの辛い!!から少し脱出できたと思ったらまさかの状況である…。 さいきん、内田樹の『困難な結婚』を読んだ。なぜか、結婚するから。 困難な結婚 作者: 内田樹 出…

『うりずんの雨』- 被害者だからって人を傷つけていいんだろうか?

お題「最近見た映画」 突然だけれど、わたしの母親は沖縄の生まれで、そのせいか沖縄関係の問題をニュースで見ると複雑な気持ちになる。報道は現実の一部しか切り取らないという言葉があるように、本当にそうで、ニュースで見る沖縄というのは「怒り狂った住…

引っ越しできた

実家の最寄り駅からの風景。日曜日にさよならも言わないで、35Lのリュックひとつで家を出た。実家の寺ではだれかの葬式準備がされていた。わたしはそそくさと、リュックと寝袋を持って逃げていった。 「ふりかえるな、ふりかえるな、後ろには希望がない」と…

エドワード・ホッパーとか、ハンマースホイとかグレコとか

鷲田清一(わっしー)は言った。自分の痛みとはあまりに理不尽なゆえに悲しむことすらできない、と。(『「聴く」ことの力』) わたしはよく理不尽な辛さに襲われる。さっきも家の廊下であまりに辛い気持ちになってキッチンに移動する足を止めてしまった。廊…

ひとり暮らしがしたい愚痴

もうこの記事はただの愚痴だ。ひとり暮らしがしたい。なのになぜさせてくれないんだ。 「ひとりにならないとわたしが崩壊する!」と両親の前で泣き崩れてからはや一週間くらい経ったのだろうか。東京は阿佐ヶ谷で物件を探した。谷川俊太郎とご近所さんである…

月からきた人

今日すごい喧嘩をした。父親と母親と結構な喧嘩。わたしがひとり暮らしをしたいと申し立て、それを却下され、わたしが泣きじゃくる(大学生…)。前にも書いたように、わたしがひとり暮らしをしたい理由は、全ての世界から距離を保ちたいからで、別に「恋人と…

谷川俊太郎『ひとり暮らし』、ひとり暮らししたい。

ひとり暮らしをしたくてしたくて、『ひとり暮らし』という本を読んでみた。谷川俊太郎は、中学生の頃だいすきだった友達が気に入って読んでいたので、なんとなくずるずると10年近く読み続けている。2009年に書かれた本だから、最近の詩のごとく柔らかくて温…

くるまのこと(ボロすぎるプジョー)

わたしは運転が好き。大学生の女子にしてはまあまあ珍しいんじゃないかと思う。ちなみに技術的にはとても下手だ。 なんで好きになったんだろうかと考えると、まず、車社会に暮らしているので運転の必要があることで必然的に車に触れるというのが前提にある。…

屋根の上にのぼってきゅうりをかじること

ほぼ日刊イトイ新聞の今日のダーリンでこんなことが書かれていた。 世間的に、繊細さというのは良く取られ、鈍感さというのは悪くとられがちだ、と糸井さん。 「ただ、ぼくは、鈍なほうに鈍なほうに歩んでいこうと、 練習を続けてきたように思います。 どう…

『ムーンライト』がつまらなかった…

お題「最近見た映画」 1ヶ月以上前に、アカデミー賞の最有力候補とかなんやらでタイ語字幕のララランドを見たらつまんないのなんので開始40分で映画館を出てしまった。そのとき、「ララランドみたいなイチ候補なんかじゃなくて、最優秀賞だったムーンライ…

すべてが歪んで見える日

なんだろう、たまにあるんだけど、すべてが歪んで見える日。 街を歩く人の顔を見て吐きそうな気分になる。新宿駅で人の大群がごった返すなか、彼らの顔を見るとみんなひどく歪んで見える。 彼らの話す声音、言葉、すべてが腐っているように感じる。 いやだな…

角田光代『愛してるなんていうわけないだろ』、生の中で生きるか。生と死の間で生きるか。

この前シティーガールな女友達と神保町で古本を見て周っていたらその子がこんなことを言った。「わたし最近女性の作家の本探してるの、川上弘美とか。フォロワーさんが、女性の作家さんの方が死とか生とかを実直に見つめてる感じがするって言ってて」 この子…

是枝裕和『映画を撮りながら考えたこと』高橋哲哉『記憶のエチカ』とか

読んでみたいな〜と思っていたら時間ができたので立ち読み。 映画を撮りながら考えたこと 作者: 是枝裕和 出版社/メーカー: ミシマ社 発売日: 2016/06/08 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (5件) を見る 「自分のことを語るのは嫌だけれど・・・」と言…

自分しかいない景色、灰野敬二、大瀬崎灯台

youtu.be 灰野敬二、はじめて知ったのだけど、この曲がとても良いね。 「良い曲だな」と思う基準はそれぞれだと思うのだけど、そもそも基準なんかなくて胸にグッとくる曲が良い曲なんだけれど、わたしには良い曲を聴くと明確な想像上の景色が見えるようにな…

逃げて他人を馬鹿にして、キャッチャー・イン・ザ・ライ

辛いことがあって、どうしても逃げたい。今、ここ、そのさなかでは何も考えられない。どこかへ旅へ出たい。。 ああああ逃げたい!と考えていたら、思い出したのはサリンジャーの『キャッチャー・イン・ザ・ライ』。高校生のときにたまたま本屋で手に入れて、…

打ち上げられたブログ

読む人がいないけどブログを書くのって楽しいよね。孤独な星の唯一の住人になった気分。宇宙に向かって、ひたすら信号を送りつづける。 まあどうせすぐに飽きてやめることも目に見えてるんだけれど。それでも打ち上げられた流木みたいな(社会学者の岸政彦の…

ララランド、つまララランド

観ました、ララランド。正確には観切ってない、退屈なもんで途中で映画館を飛び出してしまった。 映画好きの友達に「ララランド観たつまらなかった」と連絡すると「どうしてああなった、逆に笑えた」と。だよね。信頼できるのは、身近な人の意見。 話変わっ…